数学の負担と進路とのバランス

私はプロフィールにあります通り、塾講師経験も長年ありますので英語だけで生徒のニーズに応えられるとは思っております。そのため、文系数学ではありますが基礎から定期試験応用程度は教えられます。

そして、夏休みに入ったこともあり、数学の授業を希望されるご家庭も出てきています。現在ですと、高校では数II、数Bがある程度進んで教科書の3分の1程度が終わっているという状況です。「終わっている」というのはあくまで学校あるいは数学教師の観点からで、生徒としては「まだよくわからない」という状況が発生しやすいタイミングです。

そういう場合、特に文系であれば考えなければならないのは、「進路」です。私は当時、数学がからきしダメでしたから本当に赤点回避だけを考えて試験勉強していました。怪我の功名とはまさにこのことで、「易問は絶対に落とさない」という試験で最も重要なテクニックが自然に身についたと思います。

しかし、このような状況で国公立大学に受かるとは思えない、とも考えました。特に進学校と呼ばれる学校は各中学校からその地方の「秀才」が集ってきているわけで、なかなかプライドの問題もあり相談できる人を見つけるのも大変です。

親に相談して「国立はあきらめて私立にする」と言うのも学生にとっては非常に勇気のいる決断である場合もあることでしょう。しかし、私は親が納得してくれやすいように、同時に自分が納得できるように目標を早稲田一本に絞りました。

数学は明らかに自分の弱点であり、しかし私の進路としては数学は必要な素養。それは大学に入って身に着けることを決め、英・国・社の3科目で早稲田突破を決意して親に了解をもらいました。当然、「なぜ高2の段階で国公立を諦めるのか」とは言われましたが、「明らかな弱点であり、克服には浪人しかない。それよりも現役で早稲田に行くべき」という主張を貫きました。

不退転の決意のもと、有言実行を果たしましたので東京で大学生活を送ることができました。

なぜこんな話をしているかというと、現在の地方学生がおかれた状況は当時の私以上に各科目、特に英・数の負担が増しており、これはよほど恵まれた学生でなければ医学部はもとより、国公立大学で人気学部に入ることは、よほど入学者枠を増やした学校(少子化の影響でそんな学校があるのか疑問ではありますが)でなければ難しくなっているはずです。

さらに言えば地方の公立進学校の教師にありがちな考え方として、「国公立大学への進学が基本」というものがあり、私立大学への進学を最初から考えていないように思います。ですから学校カリキュラムは非常に硬直的であり、私大文系を希望する学生でも数学の負担が最後まで付きまといます(赤点を回避しなければ留年というリスクがあります)。

しかし、既に時代は令和に入り、今後ますますAIの活用が増え、目先にはフィジカルAIの活用が迫っています。現実に人型ロボットやドローンが人間の代わりをする仕事をこなせる時代が差し迫っているわけです。

その中で果たして、高校という貴重な3年間のうち、進学という関門を超えるうえで数学の負担をどうするのかというのはご家庭・学生の大きな悩みかと思います。

私は地方公立進学校に通う高校生の1つの選択肢として、早慶を目指すというのはアリだと考えます。早慶は就職には無論強く、早慶生はWスクールへの熱も強く、法学部ならば弁護士、経済(商)学部であれば公認会計士というように「この資格が無ければそもそも業務ができない」という強い資格を目指す風土があります。

この流れに乗れば、十分に国公立大学生とも伍する能力が証明できます。さらに海外留学のチャンスを得るために英検1級を目指すというのもできる環境が早慶にはあると思います。

弱みを克服することに高校3年間の貴重な時間を割いて、本来進学したかった大学を諦めて2ランクも3ランクも下げて魅力を感じない国公立大学に進学するよりも、ハッキリと自分の強み・弱みを見極めて大きく舵を切り、早慶を目標とするのは検討に値する時代になったのではないか、と思います。