あらゆる英語試験において、単語や熟語の暗記は必須だというのは言うまでもないことですが、これまで初めて出会う生徒との初回面談で「覚えられない単語を覚えるにはどうしてるの?」と聞くとほとんど次のような言葉が返ってきます。
- 「ひたすら書いて覚えてます!」
- 「赤シート使います」
- 「マーカー引いてます」
- 「付箋つけて何度も見ます」
それらの方法論は平成・昭和はもちろん、大正・明治から日本人がやってきた「暗記」と何ら変わらないのではないだろうか、と立ち止まって考えてみることが必要だと塾講師時代に考えました。
「はると先生の英語レッスン」では、脳科学・言語学・教育理論・教育心理学・統計学などから得られた知見をベースに学習法を生徒さんに合わせて提案しています。このお話はもしかしたら非常に退屈かもしれませんが、私が主宰する雀鴻会では必ずこれらの教育に関わる実績ある知見や理論を頭に叩き込んでから指導やレッスンに臨んでいるということをご理解いただけますと幸いです。
それではさっそく、クラッシェンのインプット仮説という言語学では有名な仮説について私が理解していることをお伝えします。この仮説では学習者のレベルを
i = 中学1年レベル(例)
とおいて、学習すべき内容を
i+1=中学1年レベルより少しだけ難しいレベル
としています。ちょっと分かりにくいので中学1年レベルの英語で具体的にインプット仮説を理解したいと思います。まずは i レベルの英文から。
I play soccer after school. 「私は放課後にサッカーをします。」
次に i + 1 レベルの英文は以下のようなものになります。
I usually play soccer after school. 「私はたいてい、放課後にサッカーをします。」
インプット仮説では次のように考えて「i +1」レベルでの学習が言語習得において最適だと考えています。
- 言語は「理解できたもの」しか習得されない
- 難しすぎる英文では推測できない
- 簡単すぎても新しいものが増えない
- 「少しだけ未知」が最も推測しやすい
- 習得は文法暗記ではなく「無意識」に起こる
先ほどの例文で言えば、i レベル例文である I play soccer after school.を完全に理解しているという前提があります。
そこにusuallyという新たに学ぶ単語が入ってきます。学習者はusuallyの意味を知り、用法を知り、発音を知り…というように i+1 レベルを実現していくわけです。
普段皆さんがやっていることを小難しく表現すればそういうことになるわけですが、このインプット仮説が重要な点は、その明らかすぎることではなく、むしろそこから外れた学習をやってしまっていることがあるから気を付けて、ということにあります。講師としてはこの点に注意する必要があります。
たとえば、明日期末試験があるからと I usually play soccer after school with my friends because it’s fun.という i + 3 レベルから始める、ということは避けるべきです。理解が追い付かないばかりか、十分な練度に到達しないままに試験に臨めば「あれ?何にも覚えてないや」ということになりかねません。
いわゆる一夜漬けが通用しない状態と言えるでしょう。それは中学から高校レベルの英語で発生しやすいはずです。覚えるべき内容・理解すべき内容が「一夜」ではとても間に合わない分量になっているからです。
今回はクラッシェンのインプット仮説について少しだけ触れました。ほかにも教育や言語に関する理論や仮説は数多く存在します。それらを踏まえて令和の今に英語に向き合う生徒さんの力になるために私を含め講師は努力を続けていかなければなりませんね。